川村所長の勉強会参加記録

2013.04.19

メニエール病 近畿大学医学部 土井勝美先生

2013年4月18日 ホテルキャメロットジャパン
演題「メニエール病 Up-to-Date」
演者:近畿大学医学部耳鼻咽喉科教授 土井勝美先生
予備知識:
メニエールのめまいの特徴:特別な誘因なく発症し、嘔気・嘔吐を伴うことが多く、持続時間は10分から数時間程度である(数秒から十数秒のめまいであればメニエール病は否定的)。めまいの性状は回転性が多く、時に浮動性の場合もある。めまい発作時には、水平回旋混合性眼振が観察されることが多い。めまい発作の回数は週数回~年数回まで多様であり、家庭・職場環境の変化、ストレスが発作回数に影響することが多い。
めまい・難聴以外の症状:意識障害、複視、構音障害、嚥下障害、感覚障害、小脳症状、その他の中枢神経症状を伴うことはない。
聴覚症状の特徴:めまい発作前や発作時に発現・増悪し、めまいの軽減とともに警戒することが多い。症状としては、難聴、耳鳴り、耳閉塞感がおもで、めまいに随伴し消長する。強い音に対する過敏性を訴える例が少なくない。難聴は感音性難聴で、病気により閾値が変動し、補充現象陽性であることが多い。発症初期には低音域を中心とし、可逆性であるが、経過年数の長期化とともに、次第に中・高音域におよび不可逆性になる。初期には一側性であった難聴が、1-2年後頃から両側性になる症例がある。
MRIの3D-FLAIR画像のガドリニウム造影でリンパ管水腫を検出できる。(S Naganawa et al, Magn Reson Med Sci, 2008)
内科的治療:
発作時:身体的な安静と精神的な鎮静、メイロンの投与、悪心・嘔吐に対して制吐剤、抗めまい薬、抗不安薬を投与し、浸透圧利尿剤を開始し、急激な聴力低下に対してはステロイドの投与を行う。
非発作時:内リンパ水腫軽減のため浸透圧利尿剤の投与、めまい制御と自律神経症状の緩和のために抗めまい薬、脳循環改善薬、抗ヒスタミン薬を投与し、めまいを増悪させる心理的因子の改善のため抗不安薬、抗うつ薬を投与する。
内容「メニエール病確実例では、発症後わずか一年でめまいの頻度は急速に減少し、発症後10年以内にめまいの頻度はほぼ一定となり、その後も20-30年かけて徐々に減少していく。一方、メニエール病に対する様々な薬物治療の再発率は30%であり、こういった難治性メニエール病症例の一部には手術療法が選択される。1962年Portmannが報告した内リンパ嚢解放術は現在でも外科治療の第一選択である。内リンパ脳を開放して内リンパ液の排出、吸収を促す操作で、回転性めまいの発作が高率(30-50%)に制御される。その他に、ゲンタマイシン注入療法や前庭神経切断術などがある。」

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