呼吸器系

2013.07.27

新しいガイドラインに基づいたCOPD治療 東北大学 一ノ瀬正和教授

2013年7月23日 ホテルニューグランド
演題「新しいガイドラインに基づいたCOPD治療」
演者:東北大学大学院呼吸器内科学 一ノ瀬正和教授
内容及び補足「COPD診断と治療のためのガイドライン第4版」が出版された。
改訂された点は以下のものである。
① 疾患定義:タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である。呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に作用することにより起こり、通常は進行性である。臨床的には徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とするが、これらの症状に乏しいこともある。
② 疾患の病態概念:COPDの合併症や併存症について
COPDのはい合併症としては喘息とのオーバーラップ症候群、気腫合併肺線維症(CPFE)、肺癌が重要である。
COPDの全身への影響としては以下のものが挙げられる(併存症)。
全身性炎症:炎症性サイトカインの上昇、CRPの上昇
栄養障害:脂肪量、除脂肪量の減少
骨格筋機能障害:筋量・筋力の低下
心・血管疾患:心筋梗塞、狭心症、脳血管障害
骨粗鬆症:脊椎圧迫骨折
抑うつ
糖尿病
睡眠障害
貧血

③ 増悪時の管理の重要性
増悪とは
呼吸困難、咳、喀痰などの症状が日常の生理的変動を超えて急激に悪化し、安定期の治療内容の変更を要する状態を言います。ただし、他疾患(心不全、気胸、肺血栓塞栓症など)の合併による増悪を除きます。
増悪時の重症度分類
○ 軽 症
呼吸困難の悪化、喀痰量の増加、喀痰の膿性化のうち1つと、5日以内の上気道感染、他に原因のない発熱、喘鳴の増加、咳の増加、呼吸数あるいは心拍数の20%以上の増加のうち1つがみられる。
○ 中等症
呼吸困難の悪化、喀痰量の増加、喀痰の膿性化のうち2つがみられる。
○ 重 症
呼吸困難の悪化、喀痰量の増加、喀痰の膿性化のすべてがみられる。
増悪時の薬物療法:ABCアプローチです。すなわち抗菌薬(antibiotics)、気管支拡張薬(bronchodilators)、ステロイド(corticosteroids)。
基本的な治療としては、病気を診断し、

ガイドラインの治療法に応じて段階的に行う。

まとめると以下の図のようになる。

参:慢性肺疾患の診断、治療、予防に関するグローバルストラテジー2011年改訂版

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