脳神経系

2014.06.12

Fabry病と脳血管障害 今関良子先生

2014年6月9日 横浜市立脳血管医療センター
演題「Fabry病と脳血管障害」
演者:横浜市立脳血管医療センター 神経内科 今関良子先生
内容及び補足「
(遅れて参加したため、配布資料から勝手に講演内容を推察して作成しました)
Fabry病は30種類以上あるライソゾーム病の一つであり、X連鎖性劣性遺伝するαガラクトシダーゼ活性の低下または欠損によりグロボトリアオシルセラミド(GL-3)の蓄積により引き起こされる疾患である。


症状は、年齢とともに出てくるものが変わってくる。

学童時に手足の痛みのために運動ができず、成人になって痛みが消えて普通の生活が送れるようになった場合には、疑いを持っていろいろとチェックをしてみる必要がある。特に30歳前後から角膜の混濁や心機能障害、脳血管障害、タンパク尿などを認める場合には、紹介していただければ、精査・治療を行っていきます。

心臓の所見としては、肥大型心筋症が代表的でWPW症候群などの心電図異常や不整脈も呈する。
腎臓に関しては、病初期は微量アルブミン尿のみであるが、進行すると腎不全となり、透析が必要になる。
神経症状は疼痛発作が若年に見られ、肢端感覚異常、発汗低下、脳梗塞をていする。
皮膚症状としては体幹にびまん性の被角血管腫が代表的な症状である。
癌病変としては渦巻き状角膜混濁が特徴的で、白内障や、網膜や結膜血管の拡張蛇行もよくみられる。

特に脳卒中は、Fabry病患者においての初発平均年齢は男性40歳、女性46歳と一般市民の初発年齢の男性76歳、女性81歳に比較してかなり若くして発症している。
その機序としては
① 腎臓病から高血圧症を招き、最終的に脳血管障害に至る。
② 心臓疾患から二次的に脳血管障害を発症する。
③ 血管内皮生涯から二次的に発症した小血管の閉塞
などが推察されている。

遺伝形式がX染色体上にあるため、男性は全例発症するが、女性は保因者になるため症状が出ず、昔においては男性のみの病気と考えられていたが、保因者の状態でも症状がみられることがわかってきた。
 
Fabry病の診断は臨床症状から疑ったら、
① ろ紙GLA酵素活性測定(男性では確定診断可能、女性は参考にできない)
② GLA遺伝子解析(病因変異未確定のこともある)
③ 血漿Lyso-Gb3濃度(Fabry病のバイオマーカーで検出されれば、診断可能)
治療法としては欠損したり活性が低下している『αガラクトシダーゼ』を製剤化した薬を点滴補充し、体内に蓄積されている糖脂質(GL-3)を分解・代謝する治療法で、体重によって投与量を決め、2週間ごとに40分から3時間ほどの時間をかけて点滴する。この治療により、腎臓、心臓、脳血管イベント発症を減少させることができる。

参考
疫学:現在までの報告としてはオーストラリアで1/117,000(Meikleら、1999)、オランダで1/476,000(Poothuisら、1999)がある。発症率に人種差はないとされている。最近、イタリアで新生児期にマススクリーニングを行い、それによると1/3,100出生に酵素欠損があったと報告されている。
一方、心Fabry病に関しては、鹿児島県の左室肥大を有する男性患者230例中7例(3%)という比較的高い頻度で存在したことが報告された。その後、英国で肥大型心筋症と診断されていた男性患者153例中6例(4%)にFabry病が検出され、そのうち5例は心Fabry病であったことが報告された。さらに、イタリアで遅発型肥大型心筋症と診断されていた男性患者の3%、スペインで肥大型心筋症と診断された男性患者の0.9%、フランスで肥大型心筋症と診断されていた男性患者の1.4%にFabry病が検出された。最近、台湾で行われた新生児に対するスクリーニングでは、新生男児1,250人~1,370人に1人の頻度でFabry病が検出され、その80%以上に心Fabry病で報告された遺伝子異常を認めることが明らかとなっている。
また、慢性血液透析患者におけるスクリーニングでは、男性透析患者の0.2~1.2%がFabry病であったと報告されている。
予後
臨床経過および予後は、臨床病型と性により異なる。
典型的Fabry病男性患者では、幼少時より四肢末端痛、被角血管腫、低汗症、無汗症、角膜混濁などの症状を認め、その後、加齢に伴い多発性小梗塞などの脳血管障害、腎不全、心不全を発症し、40~50歳代で死に至る。
一方、心Fabry病男性患者は、病初期は無症状で、中高年以降に左心不全症状、右心不全症状、徐脈性または頻脈性不整脈による症状などが出現し、60~70歳代で心臓死(心不全死、不整脈死)に至る。
Fabry病の女性患者では、男性患者と比べ病状は軽いことが多く、進行も比較的遅いことが多い。

http://kanja.ds-pharma.jp/health/fabry/index.html
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P200400006/34053100_21600AMY00008_G100_1.pdf

http://www.nanbyou.or.jp/entry/429

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