その他
2015.01.30
石綿健康被害救済制度について 石綿健康被害対策室
2015年1月25日 横浜情報文化センター
演題「石綿健康被害救済制度について」
演者:環境省 石綿健康被害対策室 先生
内容及び補足「
石綿に対する労災制度はあるが、労働者しか対象とならない。平成17年6月29日毎日新聞が兵庫県尼崎市の大手機械メーカー・クボタの旧工場の周辺住民にアスベスト疾患が発生していると報道し、社会的なアスベスト健康被害の問題が浮上してきた。
平成18年3月に『石綿による健康被害の救済に関する法律』が施行され、平成22年7月に政令改正で「石綿肺・びまん性胸膜肥厚」が対象疾患として追加され、平成23年8月に改正法が公布され施行される運びとなった。
救済制度としての対象疾患は、石綿に起因する下記の四疾患である。
① 中皮腫
② 石綿による肺がん
③ 著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺
④ 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
である。
ちなみに、労災補償制度による対象疾患は、
① 中皮腫
② 肺がん
③ 石綿肺(石綿肺合併症を含む)
④ びまん性胸膜肥厚
⑤ 良性石綿胸水
となっており、若干異なる。
(1) 中皮腫
病理組織診断に基づく確定診断がされていることが必要である。ただし、細胞診断結果に加えて画像所見などを総合して判断されることもある。
(2) 肺がん
原発性肺癌であって、その肺癌が石綿起因とみなしえる医学的所見が認められ場合:
① 画像上、胸膜プラーク所見、じん肺法に定める第1型以上と同様の肺線維化所見の両方が認められる
(じん肺標準エックス線フィルム)
第1型:両肺野にじん肺による粒状影または不整型陰影が少数あり、かつ、腎肺による大陰影がないと認められるもの
じん肺診査ハンドブック
② 広範囲の莢膜プラーク所見が認められる
③ 一定量以上の石渡招待または石綿線維が認められる
(3) 著しい呼吸障害を伴う石綿肺
① 大量の石肺への暴露歴
② 画像所見:単純エックス線画像で、じん肺法に定める第1型以上と同様の肺線維化所見が認められる
③ 呼吸機能検査の結果:
◆%VCが60%未満、
◆%VCが60%以上80%未満であって、1秒率が70%未満であり、かつ%1秒量が50%未満であること、
◆%VCが60%以上80%未満であって、PaO2が60Torr以下であること、または、AaDO2の著しい開大がみられること
④ 他疾患との鑑別ができること
(4) 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
① 大量の石綿への暴露歴:石綿暴露作業への従事期間がおおむね3年以上であること
② 画像所見:臓側胸膜に一定以上の肥厚の広がりがあること(片肺肥厚では頭尾方向の側胸壁の1/2以上、両側肥厚の場合には頭尾方向に側胸壁の1/4以上)
③ 呼吸機能検査結果:
◆%VCが60%未満、
◆%VCが60%以上80%未満であって、1秒率が70%未満であり、かつ%1秒量が50%未満であること、
◆%VCが60%以上80%未満であって、PaO2が60Torr以下であること、または、AaDO2の著しい開大がみられること
④ 他疾患との鑑別ができること
となっている。平成26年10月末の認定状況は、中皮腫が8436人、肺がん1285人、石綿肺58人、びまん性胸膜肥厚67人、合計9846人となっている。
独立行政法人環境再生保全機構:石綿健康被害救済制度の紹介
0120-389-931(さあはやく―きゅうさい)