川村所長のプライベート日記
2014.07.22
Yomi Dr.6回目 『高血圧薬、「ストレス時だけ」「冬だけ」でも…』
現在は、膝痛対策のコラムになっていますが、
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=102000
前回のものは、
Yomi Dr.6回目 『高血圧薬、「ストレス時だけ」「冬だけ」でも…』
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=101490
で、内容は以下のモノでした。
「薬を飲み始めるとやめられないから飲みたくない」という考えは間違いです。生活習慣が改善できれば血圧は下がってくるので、そのような状況になればいつでも薬はやめられます。
ローンを組んだ時に、利息の支払いが延々と続き、しばらくしてやっと借金の返済が始まったという経験をされた方もいると思います。血圧が高いことが続くと、この利息分が病気(動脈硬化)をつくります。薬でこの利息分をなくしておくことが重要なのです。
「医者の前だけ血圧が高い(白衣高血圧)のだから問題ない」という人もいますが、この白衣高血圧と診断されていた人のうち3分の1が血圧の治療が必要となったという研究も発表されています。一過性ですぐに下がる血圧でも、血圧の高い状況が頻回に起こっているのであれば、血管に変化が生じ、やがて治療の必要な高血圧になるのです。
ストレスが続いて血圧が高い状況が続くのなら、そのストレスが続く間だけでも高血圧の薬を飲んだ方が良いのです。
グラフは日本人男性のデータです。血圧が高いほど、循環器疾患による死亡リスクが上昇するのです。
実際、ある大学病院の循環器の教授は、外来で患者さんを診察する外来の前にだけ血圧の薬を飲んでいます。
当然、夏場より冬場の方が血圧は高くなります。自分の外来には、冬場だけ血圧の薬を飲んでもらっている患者さんもいます。
「血圧が下がっても薬はしっかり飲みなさい」と言う医者もいましたが、血圧の下げすぎで、具合の悪くなる人もいるので、最近の高血圧治療ガイドラインでは、血圧の下げ過ぎにも警告を出すようになりました。収縮期(高い方)の血圧が110を割ったり、立ちくらみやめまいがしたりする時には、早めに担当医師に薬の量を相談しましょう。仕事のある日と休日で血圧が異なり、休日には薬が必要ない人もいます。
その際に大切な情報は、色々な時の自分の血圧の変動です。ぜひ色々な時の血圧を測ってください。
血圧の変化も人によってさまざまです。夕方に足のむくみがひどい人は、気を付けましょう。寝ている間にむくんでいる分の水分が血管の中に戻ってきて、起き抜けの血圧が非常に高くなる人がいます。
仕事中に血圧が高くなる人、ある特定の状況下だけ高い人、家庭に戻った時だけ血圧が高くなる人、いろいろな人がいると思います。血圧が高い時に薬が良く効くように、飲む時間を変える必要があります。
血圧が高いだけではなかなか症状が出てこないので、測ってみないとわかりません。一度は、日々の生活の中の血圧の変動を調べてみましょう。ストレスがあったり、体調が悪かったりした時には、ぜひ血圧を測って、測った値すべてを記録してください。血圧の情報は、生活指導を受ける時ばかりでなく、薬の種類や飲み方を決める際に非常に重要な情報になります。