川村所長の勉強会参加記録
2019.08.16
MR関連高血圧治療におけるMRB 柴田洋孝教授
2019年7月23日
演題「MR関連高血圧治療におけるMRB」
演者: 大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座教授 柴田洋孝 先生
場所:ホテル横浜キャメロットジャパン
内容及び補足「
日本人における、原発性アルドステロン症(PA)と本態性高血圧を比較してみると、BMIが高く、血清K値が低く、蛋白尿の頻度が高く、脳血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中が多い。
PA患者のうち脳血管疾患の既往がある人ではない人に比べ、高齢で、男性で多く、腎機能の低下れ、蛋白尿の頻度、脂質異常症の頻度が高く、血清K値の低下、血清Cr値の上昇HbA1c値の上昇、空腹時血糖値の上昇を認めた。
PAでは血清K値≦3.5mEq/L、PAC≧125pg/mLが有意高頻度で見られた。
Hypertension 2018 71 530-537
Mineralcorticoid Receptor(MR)関連高血圧
Definition
MR antagonist-responsive hypertension
High plasma aldosterone levels (usually greater than 150pg/ml) in proportion to plasma renin activety
Pathologic state
Primary aldosteronism
Aldosteron-associated hypertension
Aldosterone breakthrough (escape) phenomenon
Obesity
Obstructive sleep apnea
Sleep disorders (insomnia, sleep deprivation, shift working)
病態としては以下のように考えられている。
Aldosterone産生副腎腺腫(APA)と両側の副腎の過形成によるIdiopathic hyperaldosteronism(IHA)の臨床上の違いを見てみると、APAで血漿Aldosteroneは高く、血漿レニン活性は低くAldosterone/reninが高く、尿中のAldosterone濃度も高く、血清K値が低かった。
MR作用は、MR状態の変化によるアルドステロン濃度の上昇により生じている。
MR関連高血圧の病因は狭義で言えば、血漿アルドステロンレベルの上昇により生じているMRの過剰刺激により生じている。
現在推定されているMR関連高血圧は以下の5個のメカニズムが考えられている。
1. MR遺伝子の発現の増加
2. MRの感受性の増加
3. MRの安定化
4. 多因子によるMRの過剰刺激
5. MR遺伝子の活動性変異
MR関連高血圧を図式化すると以下のようになる。
実臨床においては、以下のようにMR関連高血圧に対する対応するとよい。
血漿アルドステロン高値の難治性高血圧→MR拮抗薬:セララ、アルダクトン、(ミネブロ)
血漿アルドステロン基準値内で肥満や糖尿病、CKDを伴う難治性高血圧→ARBまたはACE-IにMR拮抗薬を上乗せ。
Am J Hypertension 25 514-523, 2012
原発性アルドステロン症:PA
スクリーニング:血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比PAC/PRA=ARR≧200
またはPAC/ARC≧40~50かつPAC≧120pg/mL
薬剤による影響は以下の表のようになる。
PRAは剤に比べ立位で高値となり、PACは早朝に高く深夜に低下する日内変動を示すため、早朝9時間に安静座位において採血することにより偽陰性や偽陽性を少なくすることが可能となる。
検査は陰性であるが、PAの可能性が高いと思われる患者に対しては、降圧薬をCa拮抗薬に変更し、に週間後に再検査を行うとよい。
臨床的には以下の状態の高血圧に関しては、MR関連高血圧を疑い、PAC、PRA、ARRを検査すべきである。
Severe or resistant HTN
Age <30 without risk factors for HTN
HTN onset before puberty
Accelerating or malignant HTN
New onset HTN at age >55
Refractory hypokalemia
https://www.omicsonline.org/open-access/resistant-hypertension-a-comprehensive-overview-2167-1095.1000111.php?aid=12204