呼吸器系
2013.07.22
誤嚥性肺炎の予防・リハビリ 藤谷順子先生
2013年7月16日 横浜市健康福祉センター
演題「誤嚥性肺炎~主治医が支持するリハビリテーション~」
演者:国立国際医療研究センター病院 リハビリテーション科医長 藤谷順子先生
内容及び補足(含質疑応答)「ものを食べた際に食べ物が胃に送り込まれる動きを嚥下といいます。この際、食べ物の動きと呼吸による空気の移動がのどの奥で交差します。
食べ物を飲み込む際の嚥下の動きを細かく分けると以下の図のように①先行期、②準備期、③口腔期、④咽頭期、⑤食道期に分けられます。
① 先行期においては、口に入れるものを運ぶ際に、硬さ、温度、大きさ、味を予測し、食べ方、食器の使い方、食べるタイミング、体勢(体や首の位置)などを調整しています。
② 準備期おいては、口に入れた食べ物を嚥下しやすい食塊にまとめるために、舌、歯、ほっぺたの筋肉、唾液を動員して働かせます。餅つきをイメージしてください。杵を打ち続ければ、臼の底にある米の量が減り、餅をつくことにならないのです。手でこねて、周りに逃げたコメを臼の中心に集めるために、餅を容易につくことができるのです。手でこねる働きを、舌と、ほっぺたの肉が果たしているのです。水などの液体は、流れていくスピードが速く、誤嚥しやすいと言えます。
③ 口腔期は食塊をのどの奥に繰り込みますが、この際に舌が食べ物をのどの奥に送り込むのですが、舌は根本が固定されていますがそれ以外固定されているところがない筋肉であるので、舌先を固定しないと、舌の上に載っている食べ物をのどの奥に送り込むことはできません。従って口を閉じ、舌先を前歯の後ろ側に固定して初めて食べ物をのどの奥に送り込むことができます。その際に頬っぺたの筋肉が収縮していることも必要です。噛んでいる時の舌の感触で、現在口の中に入っている食塊の量と硬さを感知し、飲み込む準備をします。食塊の量が少ないと飲みこみにくいし、味がないと飲み込みにくいものです。
④ 咽頭期において喉頭の前上方への拳上の際喉頭蓋の反転と喉頭の移動が起こりますが、この際喉頭蓋の反転で完全に気道がふさがらないことで、期間内に飲食物が流れ込むことが起きます。特に、食べ物や飲み物の一部が咽頭に残っている時に、喋るために、急激に息を吸い込むと、むせることになります。従って食事介護者が食べ物を飲み込んでもらった直ぐ後に声掛けをして返事をもらう際に、ムセが起きやすくなり、ひいては誤嚥性肺炎を誘発することにもなりかねません。喋ってもらう前に、つばを飲み込むような動作をしてもらうことが、誤嚥やムセの予防になります。
図のように飲み込んだ後に唾液や飲み込んだ液状物や食べ物の残りが咽頭や喉頭に存在しているものを、息を吸うときに誤嚥する場合もあります。
⑤ 食道期は重力と食道の蠕動運動により食塊を入に送り込みます。従って逆立ちをしている状態でも、通常の人であれば食塊を入に送り込むことが、ものを食べることができるのです。しかし、高齢者や要介護の人において、胃食道逆流(逆流性食道炎など)の状況があれば、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
誤嚥が嚥下のどの時期に起こるかにより次のように分けられます。
嚥下不能:まったく嚥下が起きない場合
嚥下前:嚥下反射の前にサラット流れ込んで誤嚥する場合
嚥下中:嚥下時に全量食道に入らず気道の閉鎖も遅れる場合
嚥下後:咽頭にある残留物を食塊を飲み込んだ後で吸い込む場合
嚥下の症状は多彩であり、その具体例としては以下のものがあります。
嚥下し易いかどうかのチェックとして以下のものがあります。
誤嚥の予防として以下のものがあります。
誤嚥予防のためのリハビリとして以下のものがあります。