脂質代謝系

2013.09.07

脂質低下療法の臨床的意義 順天堂 宮内克己准教授

2013年8月30日 ホテルニューグランド
演題「脂質低下療法の臨床的意義 -イベント抑制とプラーク退縮・残された課題-」
演者:順天堂大学医学部循環器内科学講座先任准教授 宮内克己先生
内容及び補足「NEJM 2012:366, 970にBraunwald先生が冠動脈疾患治療の変遷を掲載している。

ここ40年間で虚血性心疾患死が4分の1に減少している。冠動脈バイパス術、カテーテル治療、ペースメーカー埋め込み治療など、いろいろな治療法が貢献しているが、一番貢献しているのはスタチンによる治療であると言える。だからと言って今現在でも、心疾患死亡はゼロではない。
スタチンで改善する主な危険因子は高コレステロール血症である。2005年にCholesterol Treatment Trialists (CTT) Collaborationでスタチン系薬剤の治療と対照を比較した14のランダム化比較試験(RCT)約9万例のメタアナリシスの結果によると、LDLコレステロール1.0mmol/L(387㎎/dl)の低下により主要血管イベント(冠動脈死、非致死的心筋梗塞、冠動脈血行再建術、脳卒中)が約20%減少することが示された。そのRiskの相対比率の内容は冠動脈疾患死:0.80、その他の心臓死:0.89、脳卒中死:0.96、その他の血管死:0.98、癌などの非血管死:0.97、癌の発症率:1.00であった。また、治療前LDLコレステロール低値例において、LDLコレステロール低下と非血管死およびがん発症の増加との関連性は認められなかった。つまり、LDLコレステロールを下げれば下げるほど、治療効果は期待でき、その他の有害事象は特に認めないとの結果であった。

LDLコレステロールの低下率と心血管イベントの低下率を主な試験ごとに示すと以下のようになる。

スタチンを投与するとプラークの退縮がみられるのみならず、破たんしやすい脂肪リッチのプラークから破たんし辛い石灰化プラークへ変化することが確認された。
 
LDLの低下率とプラークの退縮率には相関関係があることが示された。

また、プラークの退縮率が心血管イベントの抑制につながることが、いくつかの臨床試験で示されるようになってきた。

心筋梗塞の危険因子としては、①喫煙、②高血圧、③糖尿病、④脂質異常症、⑤メタボリックシンドローム、⑥肥満、⑦慢性腎臓病(CKD)、⑧飲酒、⑨身体活動、⑩食習慣、⑪心理的因子、⑫社会的因子が日本循環器病学会で挙げられているが、以前から言われている、喫煙、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症以外の危険因子を残存リスクと表現している。
コレステロール以外の脂質で残存リスクと考えられているものは、中性脂肪、Lp(a)、RLP-C(レムナント)、sdLDL(スモールデンスLDL)、低HDL血症などが挙げられている。大規模な試験で危険因子が証明されているのは低HDL(40mg/dl)血症のみである、中性脂肪はLDLコレステロールなどで階層別に解析すると、200㎎/dl以上で危険であるという結果が多い。実際病因論的にみてみると、中性脂肪を多く含んでいるカイロミクロンという粒子は、大きいので、動脈壁の中に入っていくことはなく、この粒子には、動脈硬化惹起作用はなく、カイロミクロンが代謝され、小さい粒子径になったレムナントといわれる粒子が、動脈硬化形成に関係している。
自分対地のグループをはじめ最近注目されている危険因子に、グリセロリン脂質のエステル結合を加水分解しアラキドン酸を遊離し炎症メディエーターであるプロスタグランジンやロイコトリエン合成の起点となる酵素:ホスホリパーゼA2(LpPLA2)というものがあり,
LpPLA2の濃度とプラーク量が相関しているという報告や、LpPLA2阻害薬Darapladib投与で動脈硬化層のNecrotic Coreが減少することが見いだされ、現在第三相試験が行われており、期待できる薬剤と考えている。

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