川村所長の勉強会参加記録
2013.07.01
見逃しのない胃内視鏡のコツ 山鹿中央病院 木庭 郁朗先生
2013年6月26日 けいゆう病院
演題「見逃しのない胃内視鏡のコツ その1 咽頭から十二指腸まで」
演者:山鹿中央病院消化器科部長 木庭 郁朗先生
内容及び補足(含質疑応答)「内視鏡診断には、病変の発見である存在診断、その病変の招請・悪性をみる質的診断、その病変の広がりを見る量的診断が必要である。上部消化管内視鏡検査で、食道や胃・十二指腸を注意深く観察しているつもりでも、翌年、翌々年に胃癌や食道癌が見つかることがある。3/4がリピーターである年間3000例あまりの健診受診者の内視鏡で食道癌が1例、胃癌が10例弱見つかる。近年では、NBI(Narrow Band Imagingシステム)や拡大内視鏡などの検査機器の発達に目覚ましいものがあり、それらの器具をうまく使い分けることにより、診断率が向上する。まず食道を通常観察で見た後、NBIで観察し、その後胃・十二指腸を十分に観察しする様にしている。人により、終りに食道のNBI観察を行う人がいるが、自分は、いろいろな処置が終わった後食道の観察を行うと、見落とす確率が増える気がするのでこのようにしている。病変を発見する手掛かりは、粘膜表面構造の変化、血管模様、粘膜の色調の変化(発赤、退色)が手掛かりとなる。NBIでBrawnish Areaがあれば癌病変を強く疑って対応する。
観察をしやすくするために、ガスコンを飲んでもらった後に水を追加で飲んでもらって咽喉頭の観察をしやすくしている。胃の観察の際には、胃内に泡や水分ができるだけない状態にしてから観察することと、必ず、空気をしっかり入れ胃壁が進展されている状況下にしてしっかり観察することも必要である。見落としやすい部位の一つとして、胃食道接合部があり、この部位は、挿入時よりも引抜時に観察した方が良く見えます。ただし、食道炎の酷い人は、病変が修飾されているのでPPIで治療し、食道病変が落ち着いてから再度観察する方が良いでしょう。その他に、胃に病変を見つけた時、他にも病変があるものを気付かないで検査を終えてしまうことが時にあります。他にも病変がある可能性を念頭に置いて、丁寧な観察をするだけでなく、後で振り返って確認できるよう写真もできるだけ多くとることが望ましいでしょう。下咽頭癌と食道癌の合併は10~30%と高頻度であり、絶えず合併している可能性を念頭に置き検査をしていく必要がある。
また、内視鏡挿入時の左側臥位でいびきをかく人が少なからずおり、観察してみると咽頭・喉頭の呼吸性変動が大きく、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断に用いている。